障施協・知的障害者施設部会 アンケート結果
3 施設・事業所の対策や状況
「人件費削減」が28.8%と一番高く、「定員の増員」(25.4%)、「開所日数の増」(18.6%)と続く。
「人件費削減」の内容としては、@非正規職員の比率を高める A給与の調整(昇給停止、賞与減額、給与表の見直し、管理職手当ての減額)をほとんどの施設があげている。
そのことにより「利用者支援への影響」が「出た」との回答は「ない」を大きく下回っているものの、31%の数となる。
影響が「出た」ことの中身としては、プラスの意味でのもの(土曜日開所によりサークル活動や外出を行ない利用者から好評を得た)が2施設あるが、他はマイナスの影響である(以下に列挙)。
・職員間のリレーションがとれにくくなった。
・定員は増員したが、職員は以前の体制のままであり、利用者支援が疎かになる要因が多くみられる。
・間接的だが、職員会議の時間が十分とれなくなり、支援の内容検討の時間が減った。
・あっただろうと思うが、細かく対応することで影響を食い止めたのが現実
・職員の退職及び新職員の補充が難しく、利用者支援に影響が出ている。
・非常勤が増えたことにより、サービスの質にばらつきを生じている。
・正職員の業務分担増。
「自立支援法の利用者への影響」では「出ている」が「特にいない」を大きく下回っているものの、約3分の1の数となっている。
影響の中身は「退所した」が7施設・計20人と一番多く、「利用日数を減らした」「その他」が共に7施設・計7人となる。
「退所した」のはすべて通所施設だが、内1施設・計13人は「就労移行支援事業を行なうことにより就労支援が強化でき、一般就労の実現ができたから」とプラス面で退所。他の6施設・7人はすべて利用料が高くなったことを原因としてあげている。
「運営面での苦慮」では、「職員の確保」(32.4%)と一番多く、「請求・会計事務の煩雑さ」(29.6%)、「収入面」(18.3%)、「利用者の確保」(15.5%)と続く。
「職員の確保」ではどの施設も「非正規職員を募集しても集まらない」ことをあげている。「資格要件、年齢不問にし、来てもらえる人はすべて受け入れないと職員確保ができない」という深刻な意見もあった。「人件費削減」のため非正規職員の比率を上げようとする一方で、その確保が困難という事態は深刻だといえよう。現実に福祉系学校でも定員割れが常態化しており、今後この傾向は更に悪化すると思われ、早急な対策が求められる。
1 自立支援法以降の対策
旧法施設 | 新事業移行 | 合計 | ||||||
通所更生 | 通所授産 | 入所更生 | 旧通所更生 | 旧通所授産 | 旧入所更生 | |||
人件費削減 | 3 | 2 | 4 | 5 | 2 | 1 | 17 | 28.8% |
利用者・家族への協力依頼 | 0 | 1 | 3 | 2 | 0 | 1 | 7 | 11.9% |
日常生活費の新たな徴収 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 3 | 5.1% |
定員の増員(定員緩和を含む) | 4 | 3 | 3 | 3 | 1 | 1 | 15 | 25.4% |
開所日数の増 | 2 | 2 | 0 | 3 | 2 | 2 | 11 | 18.6% |
新たな事業拡大 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 2 | 3.4% |
その他 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 2 | 3.4% |
特にない | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 3.4% |
※その他=旧通所更生:土曜日営業時間の延長(1) デイも生活介護へ移行(1)
そのことによる利用者支援への影響
旧法施設 | 新事業移行 | 合計 | ||||||
通所更生 | 通所授産 | 入所更生 | 旧通所更生 | 旧通所授産 | 旧入所更生 | |||
ある | 1 | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 | 9 | 31.0% |
ない | 3 | 1 | 5 | 5 | 1 | 1 | 16 | 55.2% |
無回答 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | 1 | 4 | 13.8% |
自立支援法施行以降、退所などの影響が出ている利用者は
旧法施設 | 新事業移行 | 合計 | ||||||
通所更生 | 通所授産 | 入所更生 | 旧通所更生 | 旧通所授産 | 旧入所更生 | |||
いる | 1 | 1 | 0 | 5 | 2 | 0 | 9 | 32.1% |
特にいない | 4 | 2 | 7 | 3 | 0 | 3 | 19 | 67.9% |
自立支援法の影響が出ていると回答−何か
旧法施設 | 新事業移行 | 合計 | ||||||
通所更生 | 通所授産 | 入所更生 | 旧通所更生 | 旧通所授産 | 旧入所更生 | |||
利用日数を減らした | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 3 | 25.0% |
合計7人 | ||||||||
退所した | 0 | 1 | 0 | 4 | 2 | 0 | 7 | 58.3% |
合計20人 | ||||||||
退所を予定している | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.0% |
その他 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 2 | 16.7% |
合計7人 |
※その他=通所更生:規制緩和によるNPO法人へ利用変更(1) 旧通所更生:弁当持参へ切り替え(1)
運営で苦慮されていることは
旧法施設 | 新事業移行 | 合計 | ||||||
通所更生 | 通所授産 | 入所更生 | 旧通所更生 | 旧通所授産 | 旧入所更生 | |||
収入面 | 3 | 1 | 4 | 2 | 2 | 1 | 13 | 18.3% |
職員の確保 | 4 | 3 | 6 | 7 | 1 | 2 | 23 | 32.4% |
利用者の確保 | 3 | 1 | 2 | 1 | 2 | 2 | 11 | 15.5% |
請求・会計事務の煩雑さ | 4 | 2 | 5 | 6 | 1 | 3 | 21 | 29.6% |
その他 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 3 | 4.2% |
特にない | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0.0% |
※ その他=旧通所更生:会議の時間が確保できない(1) 労務管理・事務作業の増(1)
旧入所:減算にならないよう利用者受入の調整